プレーヤー編オリジナルDAC「MMM」が変えるマランツのSACDプレーヤー
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オリジナルDAC「Marantz Musical Mastering(MMM)」の開発
SA-10、SA-12に搭載したオリジナルDAC「Marantz Musical Mastering(MMM)」の開発により、マランツのSACDプレーヤーは大きな飛躍を遂げました。
それは、DAC(Digital to Analog Converter)がCDに刻まれたデジタル信号をアナログのオーディオ信号に変える役割を持ち、まさに「音の方向性を決定づける」回路のひとつだからです。
それほど重要なDACですが、高級機を含め、ほとんどすべてのCDプレーヤーに搭載されているのは、半導体メーカーが作った汎用品です。DAC開発には高度な専門性が求められるためです。
汎用DACは小型で多様性があり、何よりコストパフォーマンスが高いので、CDプレーヤーの市場形成には不可欠なものです。中には、音質的に優れたデバイスもあります。しかしながら、汎用DACは半導体チップの集積回路ICとして供給されるため、周辺の回路を工夫することはできても、それ以上のDA変換の本質的な高音質化を図ることはできません。
DACを自分たちで開発することができれば、オリジナルのアルゴリズムを組み込むなど、これまで以上に理想的な音質を追求することが可能となります。さらにDAC機能を一つの半導体チップだけで構成するのでなく、複数のパートに分け、音質を左右する重要な箇所に高音質パーツを搭載することにより、音質改善への可能性は計りしれないものとなります。
マランツは、これまでの長い歴史において少しずつ内製化の範囲を広げ、オリジナルのメカエンジン、デジタルフィルター、そしてHDAM®搭載フルディスクリート回路を開発し、搭載してきました。その中でも唯一、DACだけは内製できていませんでした。
内部処理のアルゴリズムまですべてを磨き抜き、パーツなども自分たちで選び抜いて、徹底的に高音質化したオリジナルDACを開発する、私たちはそう決断しました。
もちろん、オリジナルDACを開発するのが、困難を伴う決断であることはわかっていました。しかし、マランツにはそれを実現する人材やノウハウがありました。それをもってしてもSA-10とSA-12に搭載されているオリジナルDACを完成させるには、足かけ5年もの歳月が必要でした。
それだけの時間と労力、情熱をかけて開発したオリジナルDAC「Marantz Musical Mastering(MMM)」には、マランツの音づくりのポリシー、ノウハウ、長年にわたる研究成果が惜しみなく盛り込まれています。
「MMM」は、フラグシップSACDプレーヤー SA-10のために開発されましたが、弟機である SA-12にも搭載されています。100万円に満たないSACDプレーヤーにオリジナルDACが搭載されるのは、世界的に見ても異例のことです。
「MMM」の構造と3つのメリット
ここからは、オリジナルDAC「MMM」の構造と3つのメリットをご紹介しましょう。
オリジナルDAC「MMM」は、大きく2つのパートに分かれています。デジタル音楽信号を受け入れ、すべていったんDSDに変換する「MMM-Stream」部と、そのDSD信号をディスクリート回路でアナログに変換する「MMM-Conversion」部です。
「MMM-Stream」部は、PCM信号が入ってきたときにそれを1ビット DSDデータに変換します。DSDデータが入ってきた場合はそのままです。つまり、「MMM-Stream」から出力されるのはすべてDSD信号です。
このPCMからDSDへ変換するアルゴリズムも、マランツオリジナルのものです。それだけではなく、SA-10、SA-12においては、デジタルフィルター、ノイズシェーパー、レゾネーター、ディザーなどのデジタルドメインのアルゴリズムすべてをマランツのサウンドの方向性に合うものに調整してあります。これがまずオリジナルDACの一つ目の恩恵と言えます。

次に、DSDのデータをアナログに変換する「MMM-Conversion」部もディスクリート回路構成であるため、抵抗やコンデンサーなどの音質パーツを選び抜き、実装することが可能です。SA-10、SA-12ではエルナー社製のコンデンサーやビシェイ社製の抵抗など、プレミアムSACDプレーヤーにふさわしいグレードの高品位なパーツを実装しています。これがオリジナルDACの二つ目のメリットです。
三つ目のメリットは、DAC内部にデジタルアイソレーターを設置できることです。
デジタルアイソレーターとは、高周波ノイズ対策を行うための素子で、機器内の色々なところに設置することができます。
中でもデジタル部とアナログ部を分離することで相互干渉を抑える高速デジタルアイソレーターを実装することは高級機では大変重要なアプローチで、高いS/Nと緻密な表現力を実現できます。
マランツでは2006年に発売した当時のリファレンスSACDプレーヤーの SA-7S1(定価70万円)で初めて搭載しました。ただし、SA-7S1では汎用DACが採用されていたので、DACチップの直前にアイソレーターを配置していました。一方、SA-10、SA-12ではオリジナルDACを搭載しています。そのため、通常であればDACチップ内で手が出せない、本当の意味でのデジタル、アナログの変換の直前(「MMM-Stream」部と「MMM-Conversion」部の間)に高品位な高速デジタルアイソレーターを配置することができました。これにより、従来とは比較にならない静寂感を再現することができるようになったのです。

1982年にCDプレーヤー CD-63、2000年にSACDプレーヤー SA-1を発表して以来、マランツはデジタルプレーヤーの歴史をリードしてきました。
そして今、オリジナルDAC「MMM」を開発・搭載したことで、SA-10、SA-12は、メカエンジン、デジタルフィルター、DAC、アナログステージまで、すべてマランツが独自開発した、世界的にも希少な“フルオリジナル” プレーヤーとなりました。
すべては音楽のために
“Because music matters”。
オリジナルDACの3つのメリット
- MMM-Stream:
マランツのポリシーを具現化するオリジナルアルゴリズム - MMM-Conversion:
高品位なパーツを採用可能なディスクリートD/A変換部 - コンプリートアイソレーションシステム:
DAC内部でデジタル/アナログステージをアイソレーション