世界の”ベストインクラス”
6000シリーズに込められたマランツのHi-Fi哲学


マランツの6000シリーズは、長年にわたり世界中のオーディオファイルの方々に愛されてきました。日本ではあまり馴染みがありませんが、 ヨーロッパで圧倒的な影響力をもつオーディオ専門誌「What Hi-Fi?」においても常に最高の評価を得ています。2020年9月に発売された新製品のCDプレーヤー「CD6007」もプロダクト・オブ・ザ・イヤーを、そしてプリメインアンプ「PM6007」はベストバイのアワードを獲得しました。今回は6000シリーズに込められたマランツの哲学について、ヨーロッパと日本のそれぞれのプロダクト担当に聞きました。

ディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 マーケティング/プロダクト担当 高山健一

プリメインアンプ PM6007
希望小売価格(税抜) ¥ 64,000

CDプレーヤー CD6007
希望小売価格(税抜) ¥ 50,000


スペックには現れない「音」のこだわりが込められた6000シリーズ


●6000シリーズの最新モデルCD6007、PM6007が発売されましたが、そもそも6000シリーズはどのくらい前からあるのですか。

高山:6000シリーズのルーツは1993年に発売されたCDプレーヤー「CD-63」です。そこからデザインが変わり、名前も6000シリーズと変わりながら現在に続いています。6000シリーズはマランツのエントリーモデルの要となるロングセラーモデルであり、またヨーロッパをはじめとする世界的なベストセラーモデルとして、多くのオーディオファンに親しまれています。

↑6000シリーズのルーツであるCDプレーヤー「CD-63」


●マランツのエントリーグレードのラインアップには6000シリーズと5000シリーズがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

高山:5000シリーズが一番のエントリーモデルで、次が6000シリーズです。この2つのシリーズは双子のモデルと言われているんです。なぜかと言うと、外観がそっくりですし、回路構成もほとんど同じだからです。大きな違いは、6000シリーズには多数の音質にこだわったパーツが使用されているところですね。

↑6000シリーズのプリメインアンプPM6007(右)とCDプレーヤーのCD6007(左)


●5000シリーズと6000シリーズは回路的に「双子」というぐらいほとんど同じということですね。パーツの品種やグレードの差で、そんなに大きな違いが出せるものなのでしょうか?

高山:はい、大きく違います。 たとえば5000シリーズと6000シリーズとでスペックや機能の比較表を作ってみると、あまり大きな違いはないんです。スペックだけを見たら5000シリーズの方がコストパフォーマンスがいいと思えるかもしれません。しかしオーディオの世界にはスペックで表せるものと表せないものがあり、表せない部分にこそHi-Fiの面白さ、奥深さがあると思います。製品の質を高めるために、我々マランツはどこに手間とコストをかけているか、5000シリーズと6000シリーズを比べて見ればお分かりいただけると思います。


※6000シリーズと5000シリーズの具体的な相違点について

・PM6007 / PM5005
機能的な違いとしてPM6007はデジタルインプットを搭載している。
オーディオ回路は基本同じ構成だが、PM6007のオーディオ電源回路にはカレントソース回路が追加されており、低ノイズ化が図られている。
PM6007は上位機種と同様にシールドケース封入のトロイダルトランス、12,000μのエルナー製カスタム・ブロックコンデンサー、金属皮膜抵抗、低ESR導電性高分子コンデンサーを採用。またフォノイコライザーにJFET入力を採用し、カップリンコンデンサを削除、低ノイズ・低歪のOPアンプを採用している。

プリメインアンプ PM5005
希望小売価格(税抜) ¥ 32,500


・CD6007 / CD5005
機能的な違いとしてCD6007は、USB-Aインプットを搭載している。
オーディオ回路はどちらもHDAM-SA2搭載の出力回路だが、CD5005は一部にOPアンプを使用しているのに対し、CD6007はディスクリート回路で、HDAM回路にも細かな改良が施されている。
またFET入力回路でカップリングコンデンサを削除。エルナー製カスタム・ブロックコンデンサー、金属皮膜抵抗、精密メルフ抵抗、低ESR導電性高分子コンデンサーなどの高品位パーツをふんだんに投入している。

CDプレーヤー CD5005
希望小売価格(税抜) ¥ 32,500


●6000シリーズは日本のマーケットでも高い評価を得ています。

高山:はい。昨年末の発売以降、日本のHi-Fiシーンでも多くのアワードをいただきました。エンジニアの開発の努力が報われたようで、本当にうれしいです。

●CD6007
- VGP 2020 WINTER ピュアオーディオ部会 ディスクプレーヤー(5万円未満) 金賞
- オーディオ銘機賞2021 デジタルプレーヤー 受賞
- Stereo Best Buy Year Compo 2020 7万円未満のデジタルプレーヤー 1位
- STEREO SOUND Best Buy 2020-2021 デジタルディスクプレーヤー(30万円未満) 6位


●PM6007
- VGP 2020 WINTER ピュアオーディオ部会 プリメインアンプ(5万円以上10万円未満) 受賞
- オーディオ銘機賞2021 プリメインアンプ 受賞
- Stereo Best Buy Year Compo 2020 プリメインアンプ(30万円未満) 3位
- STEREO SOUND Best Buy 2020-2021 プリメインアンプ(30万円未満) 3位


6000シリーズがヨーロッパの「What Hi-Fi?」で高評価を獲得しつづけている理由


●6000シリーズはヨーロッパでも非常に高く評価されていると聞いています。どうしてでしょうか。

高山:はい。イギリスのオーディオ専門誌で「WHAT HI-FI?」(https://www.whathifi.com)というヨーロッパで最も権威があり、世界的にも大きな影響力を持っているメディアがあります。そのレビューでマランツの6000シリーズは最高評価である5スターを、モデルにして4世代前から10年以上連続して受賞しています。
ヨーロッパのHi-Fiマーケットはとてもスケールが大きいのですが、「What Hi-Fi?」のレビュー影響力は強大で、What Hi-Fi?で高評価を得れば売れるし、良い評価が得られなければ振るわないということが実際に起こりえるんです。
6000シリーズはおかげさまで10年以上にわたって高い評価を得ていて、ヨーロッパにおいて最も人気があるHi-Fiオーディオコンポーネントの1つといっていいと思います。特にCDプレーヤーは他の追随を許さないポジションを得ています。

●What Hi-Fi?のレビューは、なぜそれほどまでに大きな影響を持っているのですか。

高山:詳しいことはこの後出てくるヨーロッパのプロダクト担当のコメントにありますが、日本のみなさまはWhat Hi-Fi?にあまり馴染みがないと思いますので、私からは、その歴史と概要について、ちょっとだけ紹介させていただきます。What Hi-Fi?は、まず70年代にイギリスでオーディオ雑誌として始まって、ヨーロッパを中心に圧倒的な発行部数を誇っていたそうです。Hi-Fi、ホームシネマ、テレビ、ホームオーディオに関する製品のレビュー記事が掲載されますが、その星の数で表すレビューの評価はオーディオファンにとても信頼されています。またWhat Hi-Fi?は、レビューとは別に毎年アワードを開催していて、ジャンル別、価格帯別の「Best Buys」、そして各カテゴリーのNo.1を選出する最高賞の「Product of the year」があります。What Hi-Fi?のアワードで高評価を得るポイントは、製品のクオリティと価格とのバランスが常に重視されているところです。Product of the yearの選考においては、価格帯を度外視して音が最も良い製品が選ばれるのではなく、価格に対してどれだけ音質がいいか、そのコストパフォーマンスが最重要視されています。

↑6000シリーズのWhat Hi-Fi?における歴代受賞歴。CD6004、CD6005、CD6006、CD6007UK Edition、そしてPM6004、PM6005、PM6006、PM6007UK Editionはいずれもファイブスターを獲得し、ほとんどのモデルがベストバイ、プロダクト・オブ・ザ・イヤーも獲得している

↑イギリス版のデノンの製品ウェブサイト。What Hi-Fi?のアワードが表示されている。


ヨーロッパ・プロダクト担当Oliver Krieteのコメント「What Hi-Fi? アワードについて」


●最後にヨーロッパのプロダクトマネージャーOliver Krieteから寄せられた、6000シリーズとWhat Hi-Fi?のアワードについてのコメントをご紹介します。

(日本語訳)
What Hi-Fi? は1970年代半ばにイギリスで創刊された、手頃な価格帯の良質なオーディオ製品を紹介するオーディオ専門誌です。彼らは創刊以来、長年にわたって維持し続けてきた独立性故に、ヨーロッパ市場のみならず、全世界で最も信頼されるオーディオ評論メディアの一つとなりました。彼らのジャッジは辛口で、評価のポイントは「1ポンドあたりの音質」、それはつまりお金を支払うお客様のための音質評価なのです。製品の価格が高過ぎるときや、その品質が良くないときには、彼らは躊躇うことなく3つ星、あるいは2つ星の評価を与えます。一方、4つ星は非常に優れた製品であることの証明であり、さらに上の5つ星は「1ポンドあたりの音質」がずば抜けて優れた製品にのみ与えられます。

What Hi-Fi?で高く評価されることは、言うまでもありませんが、ヨーロッパ市場においてとても重要なことです。そしてその影響力はヨーロッパにとどまらず世界中のオーディオ市場にまで及びます。それ故に5つ星を獲得するということは、私たちにとって製品開発とサウンド・チューニングに傾けた努力が認められたことの証とも言えるのです。
マランツの6000シリーズのCDプレーヤーは、2009年のCD6003を皮切りに7世代、11年に渡り5スターを獲得してきました。私たちのサウンドフィロソフィーは、”being musical (音楽的であること)”です。ボーカルには少し温かみを持たせながらも、音楽を楽しむために必要なパンチ、明瞭さ、ディテールを欠かさないということを大切にしてきました。これこそが最も重要なポイントであり、What Hi-Fi?に6000シリーズが高く評価されてきた理由だと思っています。今年はCDプレーヤーと並んでアンプも5つ星を獲得しましたが、特にこの3年はその成功が顕著に表れていると感じています。製品の世代ごとに着実に改善を積み重ねた結果として、プリメインアンプも5つ星製品として認められるようになってきました。

もちろん、私たちは常に5つ星を獲得し続けることを目指していますが、5つ星は必ず貰えるものではありませんし、競合ブランドも居眠りをしているわけではないので、製品開発において努力を怠ることはできません。

今やマランツは優れたCDプレーヤーを作ることに長けたブランドとして広く知られています。ちょっと古い話になりますが、ここでマランツがどのようにしてWhat Hi-Fi?にCDのスペシャリストとして、そして音楽的センスを備えたオーディオのスペシャリストとして認められるようになったかについて振り返ってみたいと思います。

1980年代後半、マランツは16 bitのCDプレーヤーがすでに市場に出回っていた当時、14 bit処理という少し時代遅れで、機能的に劣るCD-45というモデルを発売しようとしていました。この手の製品は、速やかに在庫を一掃して新製品に移行するために、価格を下げて販売されるものです。しかし、当時のプロダクトマネージャーであり、後にGolden earを経てヨーロッパを中心に41年間マランツのブランドアンバサダーを務めたKen Ishiwata(ケン・イシワタ)は、16 bitプレーヤーを凌駕するサウンド・チューニングをCD-45に施すことを思いつき、逆に価格を上げて発売することを提案しました。改造されたユニットはCD-45 LE(Limited Edition)と呼ばれ、2,000台が生産されました。What Hi-Fi?誌のレビューでCD-45 LEの優れた音質が高く評価されると、たったの2週間で2,000台は完売。私たちは「14 bitでも16 bitより高音質なCDプレーヤーを作れる」ということを証明したのです。一見クレイジーなアイデアでしたが、結果は大成功。What Hi-Fi?から初めて高い評価を獲得することができました。そして数年後には、LEはSE(Special Edition)へと変更されました。競合ブランドが私たちのLEのアイデアを真似るようになったためです。スペシャル・エディションとは、市場で販売されているスタンダードモデルにサウンド・チューニングを加えて音質を向上させた特別仕様というコンセプトです。当時の市場では、スタンダードモデルと少し価格の高いスペシャル・エディションが併売されていました。

これ以降も私たちは製品の改善を続けることで着実に評価を重ね、現在の6000シリーズのヨーロッパで最も売れているバジェットHi-Fiというポジションを築くに至りました。しかし、「バジェット」という言葉に惑わされないでください。これは、単に価格帯を示すだけの言葉であり、オーディオクオリティの良し悪しとは関係がありません。6000シリーズの音質はこの価格帯の平均的な製品に期待されるものをはるかに超えていますので。

今年も嬉しいことにPM6007がベストバイアワードを受賞し、CD6007が昨年のCD6006から2年連続となるプロダクトオブザイヤーに選ばれました。

私はもうマランツ・ヨーロッパで20年以上働いていますが、6000シリーズのサクセスストーリーの一翼を担ってきたことを誇りに感じています。そして製品の品質に対する私たちの継続的な取り組みを、専門家やお客様に認めていただいていることをとても嬉しく思っています。ぜひ6000シリーズの音を聴いてみてください。きっと私の言わんとすることがお分かりいただけると思います。


マランツヨーロッパ プロダクトマネージャー
Oliver Kriete


(英語原文)
What Hi-Fi? was established as a magazine back in mid-70's in the UK aiming to introduce good audio in affordable price range. It is one of the most respected audio review platform in the European market and globally because they preserved their independency all the years. They are very critical and their rating approach is always “Sound per Pound” which translates into audio quality for the consumer spending the money. If a product is over priced or quality is bad they don’t hesitate to give a three or even only a two star rating. A four star classifies the product already to be very good, while for five stars the “Sound per Pound” ratio needs to be excellent.

To win an highly appreciated and by customer rated Award and getting five stars is, not to mention, very important in the European market but also its influence becomes range to global as well. It is a proof that all the efforts made during development and sound evaluation do pay off.

Our 6000 series CD players got 5 stars rating in 11 consecutive years covering 7 generation starting from CD6003 in 2009. Marantz has continuously worked to transmit our sound philosophy of being musical, with a slight warm touch on vocals, but not missing the punch, clarity and details needed to make it enjoyable. I believe this is the one of the most important point and what What Hi-Fi? highly recognizes and appreciates. Beside the CD player the Marantz amplifiers gained a excellent reputation in the same years, while especially the last three years manifest the success. The reason for that is that every generation of a product we do try to improve the quality step by step and at one point the performance evolved that much to make the amplifiers a real 5 star product as well.
We of course always aim to keep our 5 star rating, but it is not a given and we have to work hard every time as competition is not sleeping and they of course like to take our stars, but we will protect them as much as we can by going the extra mile for reaching the best performance for the money spend.

We always have been exceptionally good on making CD players.
There is a story that tells us how Marantz established its position as CD specialist and later on as audio specialist with the sense for music in What Hi-Fi?.

In late 80s, Marantz tried to launch CD-45which was 14bit, outdated and under-featured product at that time when 16bit CD players were in the market. Usually those types of products are sold with lower price to clean out the stock and move on with a new products. But Ken Ishiwata, product manager at that time and later on golden ear and Marantz Ambassador mainly in Europe for 41 years, came up with an idea to do additional sound tuning on CD-45 to outperform all the16bit players and increased the price instead of lowering it. The modified unit got called CD-45 LE – Limited Edition, as only 2000pcs where available at that time. The CD-45 LE good an excellent rating from What Hi-Fi? back in the days for the audio quality. Then Marantz sold the 2000pcs of CD-45 Limited Edition within just two weeks. We made proofed that "14bit CD player can sound better than 16bit". It was crazy but it went very well. This is the first time we had a good rating from What Hi-Fi?. Over the following years LE was changed to SE – Special Edition, as competition started to copy our LE idea. A Special Edition was the concept to take a standard product, which was in the market and improve the performance by additional sound tuning. Both units the standard and the Special Edition for a moderately higher price coexisted in the market back then.

is how Marantz’s 6000 series has made it to be the best selling budget hifi in Europe today. But don’t get mislead by the word budget, as this actually only counts for the price, but not for the audio quality. This is far above average for what you can expect on this price level.

I am proud of that PM6007 won best buys and CD6007, the new model of this year awarded the product of the year sequentially from CD6006, previous model.

Working now for over 20 years for Marantz Europe I am proud to be part of the success story of the 6000 series. It is nice to see that our continuous work on the product quality is recognized by the experts and customer. Please listen by yourself and I am sure you will understand what I am talking about. Enjoy.

Product Manager Europe
Oliver Kriete


海外で、そして国内でも数多くのアワードを受賞している6000シリーズ。その実力はスペックや機能表には出てこない部分にあることがよくわかりました。さらに磨き上げられた新しい6000シリーズのサウンドを、ぜひ店頭でお確かめください。


2021年1月18日