映像の匠、秋山 真さんインタビュー


ハリウッド作品だけでなく、ジブリ作品や「君の名は。」など、数多くのブルーレイ(Blu-ray)化の仕事に携わった映像の専門家である秋山 真さん。マランツユーザーでもあるという秋山さんに、ご自身が手掛けた作品について教えていただきながら、その映像制作に対するこだわりと、そして今後のオーディオ・ビジュアルの動向についてお話を伺いました。聞き手は国内営業本部 マーケティング担当 高山健一です。

オーディオビジュアルアナリスト 秋山 真さん(左)
国内営業本部 マーケティング担当 高山健一(右)


映像は職人技で、こだわりによってクオリティが変わる


高山:今日は秋山さんがこれまでされてきたエンコードやオーサリングのお話と、最新のオーディオ・ビジュアル業界のトレンドなどについてお話を伺います。まず最初に、秋山さんが映像の仕事を始めたきっかけから教えてください。

秋山:実はもともと僕は、音の人間なんです。音響の専門学校に通って、マスタリングエンジニアになるつもりで1999年にメモリーテック株式会社のマスタリングスタジオに見習いとして入りました。それが最初です。ただ当時はCDよりもDVDの部署のほうが忙しかったのと、DVDオーディオも始まったばかりのころでした。これからはサラウンドの知識も必要じゃないかって思って、勉強がてらDVDの仕事もやってみようと。それで、DVDの部署に異動になりました。そしたら猛烈に忙しかった。いきなり残業200時間超えです(笑)。


高山:その当時はどんな作品を手掛けていたのですか?

秋山:とにかくとんでもない数を作りましたので、もうタイトルは覚えていません(笑)。その部署ではエンコードとオーサリング、2つをまとめてオーサリングと言う場合もあるんですけど、どちらもやっていました。


高山:「エンコード」や「オーサリング」という言葉は一般人にはあまり馴染みがありませんね。少しご説明いただけますか?

秋山:作品の映像マスターと音声マスターをもらって、それをDVDの場合であれば、容量である4.7GBとか8.5GBにデータ圧縮して入れる仕事をエンコードと言います。海外だとコンプレッションと呼ぶのが一般的です。そして圧縮した映像と音声と、さらに字幕やメニューなどを集めて、ユーザーがリモコンで操作できるようにプログラミングするのがオーサリングという作業です。当時の日本ではこれらの作業を一人でやることが多かったんですね。

オーディオビジュアルアナリスト 秋山 真さん


高山:映像や音声を圧縮する過程で、圧縮のプロセスにこだわらないとクオリティが下がってしまうのですか?

秋山:音声の圧縮に関しては、ドルビーデジタルでもAACでも基本的に機械任せなんです。でも映像の圧縮に関しては機械任せだと、あきらかに問題のある画質になってしまうことが多い。DVDの頃はMPEG-2というコーデックで圧縮するのですが、常にブロックノイズとの戦いでした。しかしマニュアルで調整してあげることで、実際のブロックノイズの見え方が全然変わってくる。人間の目の特性に合わせて、いろいろなツールを使って調整するんですけど、まさに職人の世界なんですよね。経験を重ねると、仕上がりを見ただけで誰がエンコードしたかまで分かるようになります。元々目指していたマスタリングエンジニアの映像版のような仕事でもあるので、気づいたらのめり込んでいたという感じです。


PHL(パナソニックハリウッド研究所)で「キル・ビル」のエンコードに携わる


高山:その後、2007年に活躍の場をアメリカに移されたわけですが、PHLというのはどういう組織なんですか?

秋山: PHL(Panasonic Hollywood Laboratory)はハリウッドにあるパナソニックの研究所です。特にMPEGの研究機関としては、ハリウッドでも唯一無二といっていい場所で、ブルーレイやDVDの画質にこだわる映画スタジオの駆け込み寺のような存在でした。そんな組織に縁あって雇ってもらえたんです。ブルーレイの圧縮コーデックはMPEG-2とMPEG-4が選べるんですが、最初の頃はMPEG-4の画質があんまり良くなかったんですよ。そこでMPEG-4を改良して作られたのがMPEG-4 AVCでした。これを開発したのがPHLなんです。その後はMPEG-4 AVCがブルーレイの標準的な映像コーデックになっています。


高山:それは大きな転機でしたね。ところでPHLでのブルーレイのエンコードは、これまでとは違いましたか?

秋山:違う点はいろいろありますが、まずPHLで使っているエンコーダーが市販されていないPHL独自のもので、これがめちゃくちゃ難しいんです。それまで7年ぐらいエンコードの仕事をやってきたわけですが、もう全然分からない。MPEGの専門的な知識がないと動かせないんですよ。

一般的なエンコーダーは、そこまで深い知識がなくてもUI上で直感的に動かせるようになっています。ただ、これは逆に言うと、UI上で解放されていないパラメーターがいっぱいあるわけで、その点PHLのエンコーダーは全てが解放されているので、項目が膨大なんです。それを1つ1つ覚えるところから始まりました。エンコーダーを動かせるようになるまで半年ぐらいかかりましたね。でも、それは辛いというより「こうやればこうなるんだ。こんなの今までできなかった!」って感じで面白かったですよ。しかも、分からなければ所長の柏木さん(MPEG-4 AVCの生みの親で画質の鬼)に直接聞けるっていう、すごく恵まれた環境でした。それからようやく市販のタイトルを作っていいよって言われて、何本かやって慣れてきたところで初めて担当したビッグタイトルがクエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」でした。


Kill Bill: Vol. 1 / Kill Bill: Vol. 2 [Blu-ray]

秋山:残念ながら僕がエンコードしたのは北米でしか売られていない北米盤というやつで、日本では買えなかったんですけど、頑張った甲斐があって、現地でその年のベスト高画質ブルーレイに表彰されたんです。それでようやく少し自信がつきましたね。


映画館のスクリーンでの見え方を追求した「崖の上のポニョ」


高山:なるほど、パラメーターが多く使いこなすのが大変だけれども、その分こだわることができるわけですね。オーディオのディスクリート回路にも通じるところがあります。その後、ジブリ作品のブルーレイ化の話がPHLに来たんですね?日本でも当時大きな話題になりました。

秋山:そうなんです。渡米して2年目で、これから先どうしようかなと漠然と考えていた頃でした。ハリウッドの恵まれた環境は捨て難かったけど、ちょうど日本でもブルーレイが普及し始めた時期だったので、帰国してPHLでの修行の成果を試してみたいという気持ちもありました。そんなタイミングで突然、「ジブリ作品がPHLに来る」という話になったんです。実は僕、DVDの仕事を始めた頃からジブリ作品をやるのが夢だったんですよ。それがまさかハリウッドの地で叶うとは。もう帰れないですよね(笑)。


高山:ジブリ作品に携われるなんて羨ましいです。ちなみにブルーレイ化はどのタイトルから始まったのですか。

秋山:最初が「崖の上のポニョ」でした。これがとんでもなく大変でした(笑)。


高山:大変でしょうね!想像できます。ちなみにどのあたりが?

秋山:まず「崖の上のポニョ」ってマスターの画質がすごいんですよ。「ジブリってこんなにすごいんだ」と驚愕しましたね。今でもそうですけど、デジタルアニメって制作解像度がHD以下なんていうのはざらにあるんです。だけど、ポニョに関してはあの当時でも全て2K以上のサイズで作られていたし、ディティールの描きこみ方とかも尋常じゃなかった。一枚絵の情報量が半端ないんですよ。ツルツルなところは一つもない。全ての画素が情報を持っているんです。これはすごいものを見たなと。加えてジブリさんのリクエストも普通じゃないわけです。

高山:普通じゃないリクエストですか?

秋山:はい、ジブリさんはフラットディスプレイでの見え方をすごく気にされていて、映画館のスクリーンに映し出したような画を、直視型のフラットディスプレイで出してほしいとおっしゃるんです。ポニョはフィルムではなくデジタルアニメなので、そのままフラットディスプレイに映すと、データがそのまま映っている感じになっちゃうんですね。それをどうやって映画館で観ているような風合いにするか。でも、変なフィルタリングでせっかくのマスターの情報量が減っちゃったら意味ないじゃないですか。そんなのどうやっていいか分からないですよね(笑)。そこでPHLの叡智を結集して、今まで誰もやっていない画像処理を開発しました。最終的には「ポニョフィルター」っていう名前になっていて笑いましたが、いわゆる一般的なフィルタリング処理ではありません。


高山:ポニョフィルター(笑)!それで映画っぽくなるんですか?

秋山:これがなるんですよね。スクリーンに映したような質感になる。だけど情報量は落とさないようにしているのがミソです。いずれにしても、それまでは「マスターに手を加えるとは何事だ」というのが常識だったんですよ。でもジブリさんの考え方は「納品したものは最終マスターではなく、スキャンして色を整えただけのものだから、ここから先のマスターを作るのはあなた方です」ということなんです。それまで僕は納品されたマスターとニアイコールなものを作ろうと頑張ってエンコードしてきたわけですが、ジブリさんってやっぱり発想が違うんですよね。僕の中では新しい世界でした。


崖の上のポニョ [Blu-ray]

高山:すごくやりがいがありそうですが、でも、そうなると責任も重いですよね?

秋山:めちゃくちゃ重いですよ。日本からの期待の声も大きかったですからね。だからポニョは半年以上かけて、残業の無い国で何日も徹夜して作りました。柏木さんなんて床で寝てましたよ(笑)。でもその甲斐あって、世に出たら大好評だった。こんな画質のアニメは観たことない!って。結果、DEGジャパン・アワードのグランプリも受賞※して、その努力が報われましたね。PHLじゃなければ実現できなかったブルーレイの歴史に残る作品だと思います。
※2009年「第2回 DEGジャパンアワード/ブルーレイディスク大賞」にて「崖の上のポニョ」がグランプリを受賞


立体感をどこまで出せるか、それが秋山さんのこだわり


高山:その後PHLではジブリ作品はたくさん手掛けられたのですか?

秋山:「崖の上のポニョ」を皮切りに「風の谷のナウシカ」、その後1年に2作ペースでリリースして、僕自身は2013年の「紅の豚」まで関わりました。


高山:それぞれご苦労があったとは思いますが、特に思い入れがあったのは?

秋山:「魔女の宅急便」ですね。「魔女の宅急便」は僕にとってジブリだけでなく、全ての映画の中で一番好きな作品なんです。だから「魔女の宅急便」をやるまでは意地でも日本には帰れないと思ってました。ジブリさんからデータが届いた時のことは今でも鮮明に覚えています。驚くほどフィルムの状態が良かった。これはやればやるほど素晴らしい画質になると確信しましたね。そこからは土日も関係なく2ヶ月くらいスタジオに籠もってました。柏木さんには一発OKをもらいましたよ。5年目で初めてでした。


魔女の宅急便 [Blu-ray]

高山:みなさんが「魔女の宅急便」を観る際に、どのあたりに注目してほしいですか?

秋山:自分的には企業秘密というか、逆に気づかれるようではダメだと思ってるんですが、フィルムグレインの見せ方ですね。「魔女の宅急便」はフィルム作品なので、画面全体にグレイン(粒子)が均一に乗っているんですよ。でも人間の目にはグレインが目立つところと目立たないところがあって、例えばキキだったら、髪の毛にグレインが乗っていても、暗い色だからそんなに気にならないんです。だけど、肌色の顔の表面に乗っているとすごく目立つんですよ。そのあたりの調整を指の皮一枚レベルのさじ加減で行っています。巷にはフィルムグレインをノイズリダクションでツンツルテンにしている作品もありますけど、僕に言わせればあれは作品への冒涜ですね。

高山:映画全体に均一にグレイン(粒子)が乗っているのなら、それはどうやって調整するんですか?

秋山:その映画の全ての要素がまんべんなく入っているシーンをいくつかピックアップするんです。そこで何度も何度もトライしてみて、全てのバランスが取れるポイントを探します。アメリカ人の同僚からは「マコトは何で毎日毎日同じシーンばっかり見ているんだ?」と言われましたよ(笑)。ここで何を見ているかと言うと、立体感や奥行き感をチェックしています。二次元のアニメなんだけど三次元に見えるか、それが大事なんです。


高山:立体感ですか!すごく重要ですよね。それがグレイン(粒子)と関係あるとは驚きました。

秋山:グレインがどう見えるかで、印象はガラっと変わってくるんです。背景のグレインが目立つと全体が平面的に見えちゃうんですね。そこを巧くコントロールして、キャラクターがちゃんと一歩前に、背景から分離して浮き出てくるように導いてあげる。そういうアプローチをしながらエンコードする人間は多分僕しかいないと思います。今、いろいろな映像機器の画質評価をする仕事もやっていますが、必ずそういうところを見ていますね。二次元アニメが二次元にしか見えなかったらダメなんです。


高山:そのあと、PHLを退社し帰国されたんですね。

秋山:「魔女の宅急便」が完成し、自分でも納得するものが作れたことで緊張の糸が切れたのでしょうか、寝ていると目眩がするようになってしまいました。次の「紅の豚」は何とか完成させましたが、車の運転にも支障が出始めたこともあり、これが潮時かなと帰国を決意しました。それが2013年の夏です。療養のために帰国したので、家でできる仕事を探したところ、ご縁があってAV REVIEW誌で1ページのコラムをもらいライターの仕事も始めました。


高山:新海誠監督の「君の名は。」にはどんな経緯で関わられたのでしょうか。

秋山:「君の名は。」のブルーレイは、私が渡米前に在籍していた株式会社キュー・テックが受注したんです。ある日、同期だったオーサリングチームのマネージャーから、でっかいタイトルが来るので、ちょっとスタッフに闘魂注入に来てくれと(笑)。
でも、まだその時は「君の名は。」を観ていなかったんです。しばらく日本にいなかったというのもあって、あまり新海作品に縁がなくて。慌ててIMAXの映画館で観てみたら、あ、これはすごい作品だなと。と同時に、仕事目線で見ていたから「こりゃエンコードが大変だわ」とも思った。で、映画館を出てすぐキュー・テックのスタッフに「すぐに映画館へ行って画質チェックをした方がいい」と伝えました。

「君の名は。」のエンコードでは僕はアドバイザー的な役割でした。PHLと環境は違いましたが、自分が持っている知識は全部惜しげなく出すので、チーム一丸となって頑張りましょうという感じで進めました。ただ途中で4K Ultra HDブルーレイ (UHD BD)も作ることになったんですよ。当時はまだUHD BDプレーヤーを持っている人はあまりいないというタイミングでした。でも、熱心なファンは再生環境を持っていなくてもUHD BD版を買うはずだと思ったんですね。その人たちが2年後、3年後に再生環境を整えて、やっと観られるぞと思ったら「ショボっ!」とガッカリしちゃうような画質であってはならない。そのときの新作と比べても遜色のないものを作ろうよ、とメンバーを鼓舞しました。


「君の名は。」Blu-rayコレクターズ・エディション 4K Ultra HD Blu-ray同梱5枚組 (初回生産限定)

高山:「君の名は。」のエンコードではどんなところがポイントでしたか。


秋山:とにかく自分がこの作品を買ったとしたらどう思うか、という視聴者目線で「ここをもうちょっとこうした方がいいんじゃない?」などとリクエストすることがほとんどでした。「君の名は。」もジブリと同じぐらい膨大な情報量を持っているので、そこをやっぱり極限まで出してほしいって。まぁ僕は言うだけだから簡単ですけど、言われた方は大変だったと思いますね。たとえば冒頭の夜空のタイトルバックからOP曲へ移行するシーンなどは何百回見たかというくらいやり直しています。ここで「このブルーレイは高画質なんだ」ということを印象づけたかったんです。

あと「君の名は。」はデジタルアニメですが、ジブリ作品と同様にフィルムグレインっぽい粒子が乗ってるんですよ。それが映画っぽい雰囲気を作っている。でも微細なテクスチャーってエンコードしたときに圧縮ノイズに化けちゃったりするので、きれいに再現することが難しいんです。そのあたりはジブリ作品で散々苦労してきたので、その経験が活きましたね。


高山:そうして仕上がった「君の名は。」はいかがでしたでしょうか。

秋山:チームが本当に頑張ってくれたので、よくできたと思います。仕上がりをチェックした新海監督が「絵に不思議に奥行きが生まれています」とツイートしておられて、監督もやっぱりそういうところを見ているんだと嬉しくなりましたね。これは一番の褒め言葉だと思って、それをすぐにリツイートしました(笑)。


高画質、高音質で映画を観たい、その思いが「ホームシアター」


高山:ここからは、今後のホームシアターについてお話を聞かせてください。

秋山:ホームシアターの概念が変わってきてますよね。今まではホームシアターといえば、大きなスクリーンや大画面テレビがあって、スピーカーもいっぱい置いてあっていう世界だったと思うんですよ。でも、今やiPhoneでも疑似的ですけどDolby Atmosが再生できますよね。AIスピーカー1本でも可能です。それで映画を観れば、その人にとってそれはホームシアターなんですよ。つまりシステム云々ではなく、高画質、高音質で映画を観たいと思えば、その思いこそが「ホームシアター」だと思うんです。それを「そんなのはホームシアターじゃない」と否定してしまったら、もうその人がこちらの世界に来てくれることは絶対にない。


高山:私たちもホームシアターの音に関しては、垣根が下がるのはいいことだと思っています。また映像のソースとしても、パッケージソフトだけがホームシアターのソースではなくなってきました。NetflixやAmazonプライムビデオ、Apple TV+などいろいろなものが出てきて、お客様の体験軸も変わってきていると思います。そんな今後のAVについて、秋山さんはどうなると思われますか?

秋山:Netflixは映画だけど、基本的に映画館で観られないですからね。本当にいろいろ変わってきていますが、オーディオマニアもそうだし、ホームシアターマニアもそうですけど、画質とか音質に対して敏感な人って、そんなに数は減っていない、ひょっとしたら増えているんじゃないの、って正直思うんですよ。高いヘッドホンやイヤホンが若い人に人気なのって、少しでもいい音で聴きたいからじゃないですか。だからそんなに悲観はしてないんですよね。たとえばマランツのNR1200は2chですけど、これとテレビを組み合わせたら立派なホームシアターだと思うし、実際僕は自宅ではそうやって映画を楽しんでいます。

高山:最後に映像配信やパッケージソフトの今後について伺います。配信の時代のパッケージソフトの魅力について教えてください。

秋山:僕がPHLで一生懸命作ったブルーレイ作品って、そのほとんどが、今はもう配信でも観られると思うんです。じゃあ、そのブルーレイはもういらないんですかっていうと、そうじゃないですよって僕は言いたくて。なぜならブルーレイと2K配信のクオリティの差ってすごく大きいんですよ。配信の方がはるかに悪い。ビットレートが非常に低いんです。ものによっては10分の1以下のもあって、これだけビットレートに差があると、最新のコーデックを使おうが何しようが、全然クオリティが違うんです。これが4Kになると配信でもUHD BDの1/3くらいのビットレートが多いので、ようやく同じ目線で語れるようになってきます。そして音声もだんだんロスレスになっていくと思うんですよね。で、次は8Kが来ます。放送はもう8Kが始まっていますが、今の感じだと8Kのパッケージソフトって多分出ないと思うんです。

でも僕らはマニアで、ハードウェアも大好物の人間じゃないですか。だから8K配信の時代になっても、AV心をくすぐる本格的なプレーヤーで再生したいと思っちゃいますよね。Apple TV 4KやFire TV Stickって優秀なデバイスですが、AV機器って感じじゃないし所有欲も満たされないから寂しいんです。いい音、いい映像でみられるハードウェアを、オーディオメーカーさん、特にマランツさんには期待したいと思います。


高山:はい、頑張ります!今日は、映像制作の深淵に触れることができた気がします。本当にありがとうございました。


秋山さんのインタビュー、いかがだったでしょうか。いつもは音のお話ですが、今回はジブリ作品や「君の名は。」のエンコードのお話、そして今後の映画の配信・パッケージソフトのお話など面白い話をたくさん伺いました。もしこれらの作品をブルーレイでお持ちの方は、ぜひグレイン(粒子)の出方に注目してみてください。

2021年9月15日