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シンコーミュージックエンタテインメント THE DIG 2007 SUMMER No.49

  MUSIC THEATER featuring YUKIKO HAYASHI
林 夕紀子
 
  楽器の位置がリアルに見えるサウンド  
  マランツが提案する“ミュージックダイアログ”の新たな主役<カリオペ>。
その大胆にして繊細な“音楽再生能力”を体感する。
 
     
 

THE DIG 2007 SUMMER No.49
シンコーミュージックエンタテインメント
取材/文◎細谷信二 撮影◎斎藤 泉

 
     
 

 まずは、今回のゲスト、林夕紀子さんの初ソロ・アルバム『timbre(ティンブレ)』から、1曲目の「悲しい雨」をじっくりと聴いていただいた。

 
     
 
ご自分の歌を聴いて、いかがですか?
「ここに自分がいるのに、目の前の、そこにも自分がいる、みたいな」
この曲は、メインの声に後から二声くらい加えてますよね。その声が《ほんのちょいズレ》みたいなのもわかる……。
「そうそう、ちょっと恥ずかしいというか、なんとなく照れくさい(笑)」
レコーディングの時、マイクはどんなものを使ったんですか? けっこう大きいのでしたか?
「そう、大きいのを使ってましたね」
 
 
声がよく通っていて、録音がすごくいいディスクだと思いました。ブレスとかリップの動きが見えるようで、ちょっとした子音の炸裂音なんかもすごく巧く録れてるなって気がしたんですよね。   timbre 『timbre』
林夕紀子
イースト・ワークス◎EWCD-0129

01. 悲しい雨が
02. アストロ・ボーイ
03. ブラックバード
04. マーサ
05. オール・トゥモローズ・パーティーズ
06. ショウ・ミー
07. ディア・ゴッド
08. ラヴィァン・シェリ
「そうですね。だからその分、生々しいんですよ。たぶんレコーディング中のモニターでも、こうした音では返ってきてないですよね。細かい音とか、自分が出してる音が」  
 
 
続いて6曲目を聴いてみましょう。(林夕紀子「ショウ・ミー」を試聴)
レコーディングでは、ヘッドフォンで伴奏を聴いて歌入れするんですか?
「これはそうでしたね」
そうすると、例えば弦のカルテットの空間的な位置関係ってあんまりわからないじゃないですか。それがこういう風にスピーカーを2本置くと《あ、ここにチェロがいて、隣がビオラ、で、ヴァイオリン。というように、空間がちゃんとできる。それがやっぱりいい録音なんですね。空間の中に楽器が浮かびあがる。
「ええ、見えますね。私は当然その現場にいたので並び順も知ってるんですけど、ここでの音を聴いて改めてそれがわかる感じがしました」
これは、ピアノとベースは一緒にレコーディングしたのですか? それともベースは後からですか?
「ピアノとベースは別々の録音です」
カルテットの空間がものすごいよく出ているんだけど、ピアノとベースは、方向感は出てるけど、前後感がもう一つっていう感じでした。だけどヴォーカルはちゃんと空間の真ん中にいる。
   
グラマーなところはグラマーにきちんと出る
 
 
 
パーカッションが入っている8曲目はアコースティックな曲ですよね。この曲は、ちょっと前のカサンドラ(・ウィルソン)のバックに似た感じですか。   Photo01
「ええ、ギタリスト(註:ブランドン・ロス)がそうですね」
(同「ラヴィアン・シェリ」を試聴)
「なんか絵が浮かんできますね。位置というか、ちゃんと一つ一つの音がはっきりしてるというか。これ、《せーの》でやってないですけど、ちゃんと分かれて聴こえてますね」
 
やっぱりバランスがいいんですよね。ミックス・ダウンの良さっていうことになるんでしょうけど。  
 
 
「きっと、そういうことなんですよね。こういうシステムで聴くと、それがはっきり出ますね」
では、林さんがいつも聴いてらっしゃるディスクを聴いてみましょう。
「はい、カサンドラ・ウィルソンを持ってきました。あとニーナ・シモンのディスクも。古い音源をCD化したのはどう聴こえるんだろうって思って」
(カサンドラ・ウィルソン「ア・リトル・ウォーム・デス」を試聴)
グラマーな音ですよ。
「そうですね。さっきの私の自分の歌もすごくそう聴こえたんですよね」
ええ、でもこっちはもっとグラマーでしょう?
「いつも家で聴いてるCDなんですけど、違いがものすごくわかりました」
日本のエンジニアって、ここまで低音を力強く入れてないんだと思いますね。だからプレイヤーはもっと(低音を)入れてほしいと思ってるはずなんですよ。いい録音だな、とは思うんだけど、どうしても低音はバタ臭さみたいなものは足りないかなっていう気がしますね。
「でも家で聴いていて、こういう風には聴こえなかったので、ちょっとびっくりしちゃったんですよね」
けっこうスピーカーは小さいですけれども、グラマーなところはグラマーにちゃんと出てくる、と。
「そうですね、はい」
(ニーナ・シモン「すべては神の御手に」を試聴)
「抜けて聴こえますね。これは古い音源なんですけど、家で聴くとこもって聴こえる。やっぱり古い音源なんだなって思ってました」
 
 
Photo03 古い録音ということで私も持ってきたんですけど、声じゃなくてインストのライヴ盤。59年頃、ステレオになってすぐの、アル・コーンとフィル・ウッズのテナー・サックス二人のジャズ・クラブでのライヴなんです。超低音も超高音も入ってはいないんです。ただ、音の勢いはあるんです。
(アル・コーン&ズート・シムズ「恋人よ我に帰れ」を試聴)
 
「古い録音なのに、反対に新しく聴こえますね。うーん、好きな演奏ですね」  
けっこう生々しい。昔の録音なんだけど、音楽にとって大事なものだけはしっかりと残してる、という録音なんです。  
 
 
「さっきから聴いてて、ライヴを観ている時みたいに目が動いちゃうんですよ」
その位置に楽器があるなあって(笑)。
「そうなんです。誰もいないのに目が動いちゃう」
古い録音でも、音の生命感とか勢いの良さがあるとむしろ新鮮に聴こえるんですね。
「でも、こんなにバレると、モニターをしている時にも、何で最終チェックをすればいいんだろうと思いますね(笑)」
やっぱり高音と低音の質感は押さえておきたいですよね。
「いつももうちょい、下、低音がほしいんですけどね。でも反対に、こういうふくよかな感じで低音が出ればいいんですけど、ものによってはもっと痛い低音になっちゃったりするじゃないですか。なので、それも怖かったりしますね」
低音が膨らむのを嫌って、低音を硬くすることが多いのかな?  
   
音が、耳だけではなく毛穴から入ってくる感じ
   
もう一度、カサンドラ・ウィルンで「ハーヴェスト・ムーン」を聴いてみましょうか。
(カサンドラ・ウィルン「ハーヴェスト・ムーン」を試聴)
音数が多いですよね。
「はい。ここでは、立体的に聴こえて、今まで聴いていたのが平面的な感じがすごくします」
空間に、奥行きと高さみたいなものがあるんじゃないかな。その空間がきれいに出ているから、楽器の数が多いし、細かな部分まで聴こえている。
「そうなんですよね。だから、グチャッていう濁りやつぶれみたいなものが一切ない」
楽器の位置関係がよく分かって、響きが天井の方にも広がっているし、床の方にもある。そんな感じですね。
「それと本当に、高音も低音もバランスがいいというか、低音ばっかりとか高音ばっかりじゃない。それと音が柔らかいですね。どの音をとっても痛くないというか。弦のちょっと当たる音とかも柔らかい」
自然さがあるでしょ。
「音が毛穴から入ってくるみたいな(笑)。耳だけじゃなくて、肌に入ってくる感じ」
ギターの高音の方とか、パーカッションの音域の高いところの、ある種、柔らかさとか鋭さっていうのはそれぞれ出てるんですけれども、刺激的じゃなく出てくるってところが、やっぱり録音もいいし、このシステムの良い所ですね。高音域と一緒にベースが出てくると、アンプやスピーカーによっては高音の方が鋭くなって刺々しさが残るんですよね。それは、一つは汚れなんですよね。汚れがあるから刺々しく聴こえちゃうんで、その汚れや滲みみたいなものが一切ないっていうのがこのシステムの特徴なんですね。
   
***
   
 
 
今回の林さんのアルバム聴かせてもらって、本当にいい録音だと思いました。ぜひこういうシステムで聴いてほしい。   Photo04
「でも、もうちょっと低音が欲しくなりました」  
それはプロデューサーと相談していただいて(笑)。アルバムの中の1曲で良いですから、たっぷりとした低域の量感や高音の透明度を高めた曲を入れて、こうした音の良いシステムで楽しめるトラックがあってもいいかもしれませんね。  
「確かにそうですね」  
そういうのもありだと思うんですよ。カサンドラだって、アルバム中の全てが凄い録音が良いってこともない……。  
 
 
「そうですね、全部が全部そういう音じゃないですもんね」
売れ線を狙ったバランスの音で録音した曲っていうのもあると思うし……。
「はい、そうですね」
 
     
 
Photo01 profile

はやし ゆきこ 1974年生まれ、東京都出身。Port of Notes、Double Famous等を世に送り出したコンピレーション・アルバム『Sign Off From Amadeus』(96年)に参加し注目を浴びる。家入哲也(perc)、大澤直樹(g)と変則トリオ“cholo azul(ショーロ・アズー)”を結成し、3枚のフル・アルバムを発表する。2006年春、cholo azul解散。コンボピアノ、ブランドン・ロス、中島ノブユキらと制作した初のソロ・アルバム『timbre』を今年5月に発表した。


撮影◎谷口京
Kei Taniguchi
 
     
 
今回使用したソフト    
     
「ニュー・ムーン・ドーター」
カサンドラ・ウィルソン
(東芝EMI)
「イン・ベツレヘム」
ニーナ・シモン」
(コロンビア)

「ハーフノートの夜」
アル・コーン & ズートシムズ」
(東芝EMI)

     
 
 
  今回使用したシステム  
     
  Music Dialog - Calliope(カリオペ)

ステレオプリメインアンプ PM-13S1 希望小売価格:262,500円
スーパーオーディオCDプレーヤー SA-13S1 希望小売価格:262,500円
スピーカー 805S 希望小売価格:346,500円(2本1組)
セット希望価格合計:871,500円